篆刻を始める人のために

篆刻をはじめる人の為に

篆刻は篆書を石材などに刻することを指し、中国では古くから文人の余儀とされています。
篆刻の最大の醍醐味は、作り手のあらゆる価値観・感性が印面に反映される点にあると言っていいでしょう。
入門者おすすめのテキスト
・西川寧『書道講座 篆刻』二玄社 2010
篆刻の概要を知ることができる本格的な初学者向けテキスト。
・川内伯豊『思い通りに印を刻る篆刻上達のコツ』メイツ出版 2015
全ページ図版入りカラーで、篆刻の技術的部分はこれを見れば簡単に理解できます。
必要な道具
[1]印稿(印の設計図)作成時に必要なもの
・小筆2本(朱墨用・黒墨用)
・二面硯(朱墨と黒墨を使用する為)
・水差し
・黒のケント紙orハガキを墨で黒く塗ったもの
・字書(後ほど詳述)
[2]印を刻す際に必要なもの
・印刀(石を刻すための篆刻刀)
・印床(石を固定する)
・石材(青石・巴林・寿山等)
[3]押印する際に必要なもの
・印泥(篆刻用の朱肉)
光明・箭鏃・石潜・高式熊・鶴泉などの種類がオススメ。なるべく高価なもの(5両で2〜5万)を選ぶ事。
・印矩(二度押しするため)
・印褥(印を押す際に下に引く下敷き)
[4]印材を成形する際に必要なもの
・耐水ペーパー
100番前後・400番・600番は押す際の印面の成形に使用する。印の側面は800番・1500番・2000番以上で成形する。
・ガラス板
耐水ペーパーを使用する際に下に引き、印面が歪まないようにするためのもの。
制作手順
[1]刻する文句を決め、字書で検字する
この作業が最も時間がかかります。ここでいい加減に作業を進めてしまうと、誤字や異なる字体を混ぜる(例えば金文と甲骨文を混ぜる)等をしてしまいす。
[2]調べた文字を元に印稿を作る
調べた文字(可能なら表にする)を元に、ケント紙に朱墨・黒墨で油絵を描くように繰り返し推敲し、完成予想図を作成します。これを印稿(印の草稿)と言います。
[3]印稿を元に印面が布字する
印稿を元に、刻す文字を印材に転写します。この工程は相当丁寧にこなさなければ、いくら正確に刻しても印稿のプラン通りにはなりません。
[4]布字した印を刻す
印刀で印面を刻します。この作業は布字がしっかりしてれば15分から30分で終わります。
[5]押印し補刀を加える
完成した印に印泥をつけ、紙面に押印します。印影と印稿を見比べ訂正を加えたい所にしるしをつけ補刀を加えます。この作業を何回か繰り返して完成です。丁寧な人は[5]の作業に一ヶ月以上かけます。
必要な字書
篆刻は様々な時代の古文字を扱うため、調べれためのレファレンスブックが多く必要です。ネット環境が普及し、古文字のデータベース検索システムが手軽に使用できるようになりましたが、まだまだ完備していません。書籍と併用して上手く活用しましょう。
【書籍】
・綿引滔天『総合 篆書大事篆』二玄社 2010
甲骨文・金文・小篆・印篆・帛書の字が調べることが可能。作品における字形の見栄えを重視しているため、「◯」しるしがついたものは著者の作字であり、スタンダードな字形が採用されていないこともあるため注意が必要。しかしバランス良く字形が採録されているため非常に便利。
・北川博邦『標準清人篆隷字典』雄山閣
中国清朝を代表する名家、220余家の書を部首別・画数順に配列。
・関正人監修『漢印文字彙編』雄山閣 1982
篆刻の基本であるすべての漢印文字をひきやすく分類・編集している。
・徐文鏡『古籀彙編』
1934年(民国23年)発刊、徐文鏡(じょぶんきょう)撰の古籀文字を集成した字書です。
古籀彙編の古籀文字は、甲骨文字・鐘鼎彝器(しょうていいき 青銅器)・石鼓文・古陶・古幣・古兵器などにみられる文字の総称です
・高明 塗白奎『文字類編(増訂本) 上、下 』北京大學震旦古代文明研究中心學術 精裝
『古文字類編』は古文字研究の基本図書であるが、刊行された1980年以降も大量の古文字資料が出土されており、増訂作業が望まれていた。その期待に応える形で、このたび、上海古籍出版社より増訂本が刊行されることになった。本増訂本は、原本により、「単体」「合体」「未確認文字」に分けられており、各古文字には「甲骨」「金文」「その他の文字」「説文」の4項目を付す。構成は、序、凡例、第一編 古文字、第二編 合文、第三編 未識徽號文字、引書目録、引器目録、検字表、後記となっている。
字書替わりのアプリとWEBサイト
【アプリ】
不厌书法
书法字典大全
練習方法
[1]篆書の臨書
篆書の字形感覚に慣れるために臨書をしましょう。
[2]印稿の制作
文字調べをした後印稿を制作。字書がない場合は購入するか、アプリかWEBを利用して調べる。調べた字はスクロールショットすること。添削する際に使用します。
[3]篆刻の線を引く練習。
印材に線を引く練習をしましょう。毎日一本が目安です。
[4]篆刻のYouTube動画をみよう!
篆刻家の加藤雨人と工藤純平という若手の篆刻家が篆刻の一連の流れが動画にしています。
・篆刻専門店かまくら篆助の篆刻
・工藤松韻【書道チャンネル】
齊藤正起さんの講座一覧
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